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その時、次男は大学4年だった。
進学を希望し、8月に大学院に進学が決まった矢先の9月14日、丁度NHKの大河ドラマ「宮本武蔵」が始まろうとした時、電話が鳴り響く。
名古屋の八事日赤からで、息子が車に撥ねられ「大腿骨開放骨折」のため、至急手術が必要なため、親の同意を得たいというような内容だった。
当然、同意する旨を伝え、明日出来るだけ早く病院に向うと云うことで電話を切った。
骨折程度で済んだのは不幸中の幸いと思ったのは大きな間違いで、深夜再度病院から連絡があり、かなり危険な状態に陥っているとのこと。
医者からは、「東京6時発の新幹線で名古屋に向へ」とのこと。
最寄り駅からでは間に合わないので、朝方5時前にタクシーにて船橋駅に向う。
息子の状況が心配で、新幹線のスピードをもどかしく思いながら、窓の外を見ると、田の畦一面に曼珠沙華が咲いている。
数本まとまって咲いているのを見たことはあるものの、無数の曼珠沙華が一面に咲いている光景は初めてだった。
その日から、10月初旬まで何回東京~名古屋間を往復しただろうか。
名古屋に行く時も、東京に帰る時も、少しづつ色褪せしながらも、この花が見送ってくれた。
あの日から5年。
息子は、今年度大学院卒業の予定だ。
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